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眠りのうさぎ

[166]  雛桜  2007-11-23投稿
 月光と死者の魂を支配すると言われる暗黒の地、魔界。この魔の世界で秩序を監理する者、それは魔界の頂点に君臨し絶対的な力を持つ魔王である。しかし本来恐れられるはずの魔界の王は今、魔王の魔の字も感じられないものだった。 「おいぃぃぃ!!お前っ、なんで…アンドレアちゃんのどこが気にくわんのだ!この浮気息子があぁぁぁー!!」
「あぁっ!?誰が浮気息子だクソジジィ!!」 「クソッ…!パパにむかってクソジジィとはなんだぁぁぁ!!お前をそんな子に育てた覚えはなぁーっい!!」
袴姿に白髪混じりのオールバックヘアーをした五十歳前後の紳士が、大理石の床に敷かれた鮮やかな赤絨毯の廊下を走っていた。彼の名はミシェル・リゼット。現在魔界の頂点に立つ正真正銘の魔王だ。しかし袴姿で両裾を掴み、足袋を履いて疾走する姿は魔王としての威厳も何も無いに等しかった。実は魔王ミシェルは今、彼の一人息子であるレノア・リゼット第一王子をひたすら追い掛けていた。「あのなぁ!いぃ年こいたジジイが自分の事パパとか言ってる時点でおしまいだろーがっ!」      「照れるな息子よぉぉ!いつまで経ってもパパにとったらお前は可愛いあの頃のまま!!」
「全否定か!?今の俺完全無視か!!あの頃っていつ頃だコノヤロー!!」


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