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漆黒の翼 29

[391]  龍角  2007-11-23投稿
事件から一週間後…



ここは都内の葬儀場。

黒い喪服や制服に身を包んだ麗奈達女学生達は皆啜り泣き、嗚咽を漏らしている。


そして麗奈の両脇には喪服に身を包んだエルファと真治がうなだれていた。

今回の事件は、はなぞの園の職員4名と美姫の計5名が殺害され、妹の美花が行方不明となる大事件となってしまった。(その美花がメルディーナと呼ばれた悪魔に変身して5人を殺害した事など皆知る筈も無い。)

エルファは一般人を傷つけてしまった罪悪感と、父親の夢の結晶である場所であの様な惨事を防ぐ事が出来なかった己の無力さにさいなまれていた。

もう…この様な思いを誰にもさせたくなかったのに。


式が終わり三人は式場から出て、霊柩車を見送った。
エルファは泣き崩れる麗奈の肩にそっと手を置いて行った。

「約束するよ…美姫ちゃんの仇は俺達が打つ。
美花ちゃんも必ず見付け出す。
俺達に任せろ…」
麗奈は嗚咽を漏らし、ただ頷く事しか出来なかった。
『此所に龍華もいれば…』

そう思った矢先、エルファの携帯が鳴った。

メールには一言。
もう時間だ。

と書かれてあった。

「親父さん…麗奈ちゃんの事頼みましたよ…」

エルファは真治の耳元でそう呟くと黙って頷いた。

エルファは二人に踵を返して駐車場へと向かった。



駐車場にある一台のジープにエルファは乗り込んだ。
運転席には悪魔達のホテル籠城事件の祭に一緒に任務をこなした天使、錬牙=クロフェード、そして助手席には碧眼の白人系のハーフの人間の女性が座っていた。

誰も、なにも喋らずに車は発車した。

しばらくしてエルファが一言こう言った。

「早く終わんないかな…戦争が。」
「戦争はどちらか負けるか、平和的に統一されなければ終わらないわ… でも私達の任務は戦争が終結しても東西終わりはしない…絶対にね…」「………」
エルファは黙って外を眺めていた。
灰色の空からは秋雨が降り始めた。
予報によると今日は沖縄と北海道を除いて全国的に雲や雨らしい。

秋雨が地上の血を洗い流しても、次から次へと地上は血で染まって行く。
そして今日もエルファ達は地上を血で染めた者を殺し更に地上は汚れて行く、そして自らの手も。

第二章…完

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