家族模型〜過去〜
「気強いヤツだなぁー。てゆーか、こんな時間に何してんの?その荷物からして、家出でしょ?」
男は、鋭い目付きで尋ねてきた。
「あぁ。そうだよ。
ただ、アタシの家出てのは、そこらのヤツとは違う。」
そう言うと、ゆっくり腰を下ろし、自分でも不思議な位、早口で此処に至るまでの経緯を語りだしていた。
「アタシはさぁ、家族のお荷物なんだって。お前なんか死ねばいいって言われたんだ。年の離れた妹まで、私の人生の邪魔者って言われちゃって……。」
そこまで、話すと2本目の煙草に火を点けた。
男は、真剣に話に話を聞いている。
「その妹とは、半分しか血繋がってないんだ。二人目の父親との子。本当の父親は、アタシが生まれてすぐに女作って出てった。
それからすぐに再婚して、アタシが11・妹がまだ3才ん時にまた離婚した。
アタシは、義理の父親に付いてった。一番、優しくしてくれたから。それが、ある日突然借金して飛びやがってさ。
裏切られたんだ。
そりゃ、そうだよな。
考えてみたら、赤の他人なんだからよ。
そっから母親ん所戻ったんだけど、母親は、あんまりアタシを良く思ってなくて…。
2年前に、自分が傷害事件起こしてから更に悪化…。だから出てきた。」
「それが、どう他のヤツとは違うんだ?」
「殺しそうになったんだ。家族を……。3日前の夜気付いたら、手に包丁持って寝てる母親の胸に刃先突き付けてて。自分でも恐くなって家出してきた。」
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