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氷雪花−4

[179]  篝火七瀬  2007-11-24投稿
体力もほとんど残っておらず、憔悴している。肌も血色が悪く、透き通る程白い。
意識が朦朧としながら1本の樹に言葉をかける「…待った?お兄ちゃん。ごめんね…1人にして。」
枯れていて、葉をつけていない1本の樹。雪が降って樹が凍り、樹氷となっている。
その見た目から私達は雪と氷で咲いたまるで花のようだったので氷雪花と呼んでいた。
小さい頃はただキレイだなとしか思っていなかったけど、辺り1面真っ白で今は此処が天国のように思える。
「…はぁ……疲れたよお兄ちゃん。わたし…ごめ…ん…ね。」
泣いた先に瞬間的に凍りつく涙を流しながら意識が遠のいていくのが解る。
私の前に兄がいる。駆け寄るが、一向に兄のいる場所には行けそうもない。
「待って、お兄ちゃん!!…お願いだから…待ってよ…」
暫く泣き崩れる私を見ていた兄が、突然近付いてくる。
私は必死に兄に抱き付く。離したくない…もう絶対に手を離したくないのに、暫く抱き締めていた兄が再び離れていく。
「ごめんな…俺はもう隣りにはいられない。…またな。」
それだけ言って手を振る兄がさらに遠ざかっていく。
「待って…待ってよ…。」そして私は意識を失った。
気が付き、微かに開いた目で見知らぬ天井が見える。
私は兄の所には行けなかった。
「……ちゃん。…よかった、気がついて。」心底心配そうに私にしがみつくお母さん。近くにはお父さんも泣いて立っていた。
兄との会話を思い出す。「しょうがないな、…は。」「よーし、今日は遊びまくるぞー」「…、やくそくだぞ、またいこうな。」「…、またな。」
涙を流したいのに涙は流れてはこなかった。
身体的に涙が流れない程体から水分を失っていて私はその行為すら赦されないかのように。

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