夢負人?
夕陽に染まる保健室。悠斗の前には疲れ果て眠る田上がいる。
一体田上に何があったのだろうか。取り乱す程辛い夢だったのだろうか。自分も毎日同じ夢を見ているが、苦痛は感じていても現実に持ち込む程のものではない。
夢といえど田上を追いつめている元凶に腹立たしさを感じていた。
忘れろ、忘れるな。忘れて欲しいのかそうでないのか、まるで田上を困らせてやりたいみたいだ。
田上を苦しめてやりたい、そんな風に取れる。しかしそこまで考えてふと笑いがこみ上げてきた。
夢に意味などあるはずがない。まして故意にそうしているなんて、夢にそんな力はない。あったとしたらそれは、田上がそう信じ込んでいるだけだ。
「ん……」
「田上?」
虚ろな顔で目を覚ました田上の体を支えながら起こしてやった。
「大丈夫か?」
錯乱した事を覚えていないのか、辺りを見回し渋い顔をした。
「保健室だよ。なぁ田上、お前どうしたんだよ」
目覚めたばかりの田上に追求するのはどうかと思ったが、このままでは本当にどうにかなってしまいそうで不安だった。
田上を助けてやれるのは自分しかいない。例えどんな理由があろうと受け止めてやる。それが親友だ。
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