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航宙機動部隊前史・23

[460]  まっかつ  2007-11-26投稿
宙際連合側は、現実の国力でもそれを支える理念でも、更には科学技術面でも大きく遅れを取ったのは事実であった。
極一部の航宙遊牧民族の悪行を過大に言い立て、印象操作により市民達の反感や恐怖を煽る様な姑息なやり方は、逆に身内からすらも激しい批判を浴びるだけにしかならなかった。

だが、宙際連合内で、とある思想が広がり始めたのもこの頃からであった。
それは、惑星定住・宙際連合・宇宙文明を結び付け、三位一体となす極めて巧妙な理論ではあった。
提唱者・発生地・初期の普及の様子については不透明で、今をもっては分かる当てすらない。
又、時の為政者達による陰謀説も根強く囁かれている。
だが、だとしてもそれは予想を越えるスピードで人々の心を捉え、宙際連合の基本理念にまで成長したのは確かだった。

宇宙文明とは惑星定住を中心とした体制であるべきである。
惑星定住民こそが宇宙文明の真の担い手である。
宙際連合はその惑星定住勢力をまとめる存在であり、よって宇宙文明の中心である。
そして、惑星定住型文明は拡大すべき使命を持っている。
故に、宙際連合は人類唯一の文明圏の主として、更なる惑星入植事業を展開し、同時にそれを妨害するあらゆる敵対者と闘い、定住民を保護しなければならない。
惑星定住型文明圏以外の勢力は、飽くまでも周辺の存在として扱わなければならない―\r

銀河元号七0八年、この思想を体系付けたオルルク=シェインメンは、宙際連合を主体とする定住型勢力を《中央域》・中央域に代表される文明を《中央域文明圏》と命名した。
宇宙版中華思想の誕生だ。
この思想に従い、宙際連合を中核とした球が想定され、そこから離れるに従って文明の程度が遅れた未開地帯になると言う理論が展開され、更にそこに住む人間や勢力を野蛮視する発想が生まれた。
更に、有人惑星のある星系群が他の遅れた勢力を支配し、自分達の文明を教育し、同化させるか、少なく共その秩序に従わせるべきだとの主張が出てきた。
言わゆる《華夷秩序》だ。

中央域文明圏は地球時代からの人類文明の精髄を受け継いだ、ただ一つの正当な後継者であり、同じく人類全体が奉じるべき共通倫理《聖教》によって治められている。
ここに住む市民はみな正しい教えに従う《良民》であり、又そうなる事を《王化》・《徳化》と称された。

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