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Raven Curse 《序章―2》

[163]  シラ  2007-11-27投稿
男の小さな呟きは、無機質に、そして、無慈悲に紡がれる。
それはすぐさま闇に溶け、警官達の耳には届かない。
だがその余韻は確実に、彼らへ死の警鐘を鳴らす。

男の数メートル後方、2人の警官も、同時に視界の隅に光を捉える。
しかし彼らの瞳に映るのは、写真立てに入れられた一枚の写真。そしてその傍らに添えられた花束の数々。ただそれだけだった。
だから男の唐突な行動が、理解出来なかった。
彼はその空間に左足を突き出し、同時に後ろを振り返る。花束は踏み潰され、その衝撃に写真立ては倒される。
だが男は構わず、半身を傾けて左足を曲げる。
そして流れるようにしゃがみ込み、両手を地面に添える。
その姿勢はまさにスターティングポーズそのものだった。

男の一連の動作に、警官達は怯み、急停止する。
だがその時には既に、彼らの眼前には、漆黒の悪魔が迫っていた。

「え――」

間抜けな一声は、鈍い響きへと変わる。

男の跳躍は空を裂き、一人の警官を突き飛ばした。
ナイフが胸板に突き立つ音と、肋骨が折れる音とが同時に響き渡り、空気を激しく震動させる。
鮮血の尾を引き、彼は後方に倒れ伏す。
即死だった。
一瞬の出来事に、傍らのもう一人は、ただ呆然と立ち尽くすしかなかった。

「な…!」

数メートル先にいたはずの男が、瞬きの間に相方を飛ばし、たった今自分の後ろを取っている!
脳裏に浮かぶのは、“理解不能”の文字。
彼が最期に聞いた音は、首筋に凶刃が突き立つ鈍い音だった。








『ドスッ!』


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