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あさはか

[146]  ふく  2007-11-28投稿
今思えば私は彼の真の姿を知らない
彼の好きだった色
彼の好きな音楽
彼の好きな食べ物さえも良く思い出せない

長く一緒に居て
彼の全てを知っているつもりでいた

無理もない
私はただ自分の全てを知ってもらいたくてそれだけで満足していた
真夏に『暑い』と言うように真冬に『寒い』と言うように
素直に彼に『好き』を沢山伝えた
何度も好きを彼に言ったし彼が喜んでくれると思った

彼には私の持つ喜怒哀楽を全て見せてきた
愛するが故に全てをさらけ出した
私の出来る限りの愛情表現だった

自分の気に入らないことがあれば『別れるから』と言って怒って見せた
彼は『そんなこと言うなよ』って呆れて笑って必ず引き止めてくれたから
安心して我が儘が言えた

いつでも彼は側に居た
話を聞いてくれたし
笑っていてくれたし
甘えられたし
一緒に居て楽だった
大好きだった
離れていくはずはないと思っていた

やっと今彼の気持ちが分かる
間違いに気付くのにこんなに時間がかかった
離れてみて少し大人になって分かった

自分の気持ちを押し付けてばかりで彼を困らせた
思ったことをすぐ口にしていたけど言葉にしなくても伝わる想いはある
我が儘と素直は違う
甘えてばかりでそれでもそんな私と一緒に居てくれたのは本当に愛していてくれたから
もしかしたら彼はずっと迷って苦しんでいたのかもしれない
別れを切り出す隙さえも与えてあげられなかったのかもしれない
だったら最後くらい彼の気持ちを無理してでも受け止めて黙って見送れば良かった
『ごめんね』って
『ありがとう』って
大人の振りして笑ってあげれば良かった

困らせたり苦しめたり
彼は私と居て本気で幸せだと思っただろうか
本気で笑うことがあっただろうか

あさはかだった

別れを告げられた最後の日
愛し続けてくれると信じていた彼の『さよなら』に『嫌だ』と何度も言って
困った顔をしていた彼なんかお構いなしに
ただただ彼の胸に飛び付いて泣き叫んでいた

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