彼
独りは恐い と言った人
彼は人に優しい
ひとりで
前進して 前進して
たまに仰向けになって
月を見ていた彼は
寂しい と
うつ向く彼女の話を
黙って最後まで聞いた
同調するわけでもなく
一緒に泣くわけでもなく
それが彼女には嬉しかった
優しい と感じた
それだけで良かった
途切れ 途切れ
繋がらない言葉を
黙って
最後まで
前進したい
彼女は初めて
そう思った
側に
離れていても
側にいる時があるよね
私はそれが嬉しくて
優しいことだと思った
それはきっと
独りの恐さを
知ってる彼だから
優しさを
知ってる彼だから……
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