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色盗人(いろぬすびと)クロオ ?

[124]  ハル  2007-12-01投稿
それは恐怖に引きつってはいたが、確かに愛くるしい笑顔だった。

シラトリは微笑を浮かべたまま、クロオに向かって両手をいっぱいに広げた。

まるで久しぶりに帰ってきた恋人を抱き締める様に・・・。

驚きの余り一歩後ろに下がったクロオは確かに見た。

シラトリの目に光る涙を。

彼女は泣いていた。

・・・泣きながら笑っていた。

目前にせまる死に叫びだしたくなるほど恐怖を感じながら

気も狂わんばかりの絶望の縁に立たされながら、

それでも逃げだそうとせず、「死」に向かって懸命に両手を広げて笑っていた。

「ぁぁおぉぅぅ・・・!!」


クロオの洞穴のような口から、声にならない叫びがもれた。

クロオはそれまで感じたことのないとてつもない恐怖に捕らわれ、半狂乱になった。

大鎌のような右腕がしなり、手当たり次第に家の中のものをなぎ倒したが、

クロオの感情の無い真っ黒な目は、恐怖で見開かれたまま、シラトリの笑顔を見つめ続けていた。

そして遂にクロオはその洞穴のような口をかっと開け、

自分に向かって手を差し伸べているシラトリを掴むと、頭からボリボリと食べた。

・・・すっかり黒く染まったシラトリの家の床には、

クロオが食べ散らかしたシラトリの白い骨の粒が、

まるで夜空に輝く星の様に静かに散らばった。

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