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何不自由ない時代12

[430]  シンヤ・G  2007-12-03投稿
開いた。
広くも狭くも無いちょうど良い間隔の玄関が有り、右側に作り付けのげた箱が有る。
正面には廊下が伸びていて、廊下の左右には幾つかドアが有り、突き当たりにもドアが有った。
廊下を進みながら左右のドアを開けていくと風呂場や便所や寝室や台所が有った。突き当たりのドアを開けると10畳以上はある居間だった。居間の向こうはベランダだ。申し分ない構成になっている。これで家賃無料とは、一体どんな政策が施行されているのだろうか。
電気も水道も既に供給が開始されている。ガスは無かった。
雨風を防げる場所を確保し、安堵に包まれた次の瞬間、僕は激しい孤独感に襲われた。家族、友人、知り合いがいない事を思い出したからだ。
しかしまぁ、いずれ友人も知り合いも出来るだろう。血縁者は自分が子供を作ればいい。
腹が減った。どんな料理でも宅配してくれるだろうという予想はついたが、むしょうに外食したかった。
外へ出てドアが閉まると、ドアからかすかに音が聞こえた。恐らくロックがかかったのだろう。盗む価値の有る物は無いし、この時代の人の中に盗人がいるとは思えない。

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