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二人の絆

[308]  大堂寺 倭  2007-12-03投稿
 −神様の存在ってやつを信じてるか?−

 この問いに、昔の自分なら迷わず「イエス」と答えていただろう。
 今までにない、最高の相棒と出会わせてくれたからだ。


 大学には、馬術部に入るつもりで選んでいた。念願叶って、志望校に入れたし、馬術部にだって入部した。
 最初は雑用ばかりでも、充実していて俺は満足だった。未経験で入部した鉄砲玉みたいな奴は俺だけで、あとの四人はみんな経験者ばかりだ。
 しかも環境がいかにもなくらい、お金持ちのスポーツなんだと思いしらされた気分でもいたよ。
 経験無くても愛はある! とか叫んで楽しくやっていた。

 そんな雑用を始めて一ヶ月、仮入部から本入部の為の手続きを終え、担当となる馬を選ぶ時がきた。三十頭もいるなかで、たった一頭と目が合った瞬間、こいつだと確信した。 理由なんかない、本能がそう言ったんだから。
 頭の中でパズルピースが迷うことなくはまっていく気分だった。他の馬とはこの感覚を得られないままで、最後にもう一度確信したんだ、こいつだって。

 馬の名前は「松風」

 この日から、全ては始まった。


 最初は誰だってそうさ、馴れない相手がいきなり世話役につくんだ、落ち着けなんて言う方が無理ってモンだろう?
 松風と俺も例外ではなく、戸惑いの連続だった。なかなか、自分が思った通りに動いてくれなくて、自分の未経験具合に凹む事も多かった。

 それでも、いつか一緒に試合に出ててっぺん目指そう、俺とお前で未経験でもやりゃあ出来るんだって見せてやろう!


 未経験な俺と、まだ四歳で未熟者と言われている松風の奮闘が始まった。

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