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ポストマン 壱

[676]  COCORO  2007-12-04投稿
安岡は、やり手の商社マンだ。その日も商談の為、東北のとある温泉郷に来ていた。出張は翌日まで予定されていたが、なんと夕方までに商談を成立させてしまうと、 取引先の薦めもあり、夜は温泉宿に泊まることにした。
疲れを流した安岡は、この小さな温泉街を探索しようと思い付き、ついでに飲み屋を探した。
狭くうねった石畳の路地を下って行くと、少し開けた場所に出て、一軒のBARに突き当たった。どうやら蔵を改装したらしい。店に入ると、中は以外に広くて洒落ている。8人の客のうち、1人の男がカウンターの隅に座っていて、その客を口髭をおいた初老のマスターが相手をしていた。安岡は、その客より少し距離をおいてカウンターに着いた。酒を注文してしばらく飲んでいると
「隣、いいですか。」
優しい声がした。振り向くと、爽やかを絵に描いたような青年が、こちらをうかがっている。
「ああ、いいよ…どうぞ。」
その好印象に思わず承諾すると青年は、安堵の顔をして嬉しそうに席に着いた。
「でも君、随分若そうだけど…まさか未成年じぁ…ないよね。」
「ハハハ…よく言われます。こう見えて、30の声が、向こうからささやいてきてます。」
「はは…若く見られるなんてうらやましい。俺みたいに40の声が怒鳴ってる奴にとってはね。」
安岡は見かけだけではない、好感の持てる青年だと思った。
「仕事で一人旅でね。もて余していたんだ。」
「そうでしたか。僕もどうもこの街には馴染めなくて、話相手が欲しかったんです。」
「君も仕事で? 」
「僕は…地元です。隣町で郵便配達員をしてました。」
「へえ…そうなんだ。」
「隣町じゃけっこう有名な、熱血ポストマンだったんですよ。」
「ほぉ…でもそんな熱血くんを、なぜ辞めたんだい。」
「それは……。」
安岡は酒の助けもあって
切り込んだ。
すると青年は、渋りながらもポツリ、ポツリと語りはじめた。
「隣町の人たちには、随分可愛いがられました…郵便屋のお兄さん、子供たちには赤いバイクのお兄ちゃん…なんて呼ばれて。」
安岡は聞き入った。
「そして隣町には、街から離れた一本道の袋小路に家が一軒だけあって………。」
青年は、フッとため息を ついて続けた。
「その家には初老の女性が住んでいて…。」
なにやら怪しげな展開に 安岡は尚も聞き入った。

つづく

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