君が笑うと、僕も笑うから 2
「なあ、笑ってくれよ」
空を仰ぎながら、誰に言うともなしにつぶやく。本当の笑顔を見なくなったと感じたのはいつからか。
お互い、愛し合っているという事実を疑ったことはなかった。ケンカもしたし、それなりの修羅場も経験した。それでも、5年という時間を共に生きてきた。
「めぐみ」
どんなに思っても駄目なんだと、知った。決定打は2ヶ月前の今日。
教授の都合でゼミがなくなり、予定外の時間ができたその日。研究結果の校内発表に追われ、1週間ろくに連絡も取れなかっためぐみに、会いに行こうと思い立った。予定は確認しなかったが、その時間ならまだ大学にいると思い、ひとまずそちらへ直行した。
これが、まずかった。いや。このおかげ、と言うべきだろうか。
一瞬、誰だか分からなかった。
サークルの友達だろう人達に囲まれて、めぐみは笑っていた。
それはもう――弾けるような笑顔で。
呆然とした。
めぐみが笑っていたことに、じゃない。
自分が、そんなめぐみの笑顔を“忘れてしまっていたコト”に、だった。
continue...
空を仰ぎながら、誰に言うともなしにつぶやく。本当の笑顔を見なくなったと感じたのはいつからか。
お互い、愛し合っているという事実を疑ったことはなかった。ケンカもしたし、それなりの修羅場も経験した。それでも、5年という時間を共に生きてきた。
「めぐみ」
どんなに思っても駄目なんだと、知った。決定打は2ヶ月前の今日。
教授の都合でゼミがなくなり、予定外の時間ができたその日。研究結果の校内発表に追われ、1週間ろくに連絡も取れなかっためぐみに、会いに行こうと思い立った。予定は確認しなかったが、その時間ならまだ大学にいると思い、ひとまずそちらへ直行した。
これが、まずかった。いや。このおかげ、と言うべきだろうか。
一瞬、誰だか分からなかった。
サークルの友達だろう人達に囲まれて、めぐみは笑っていた。
それはもう――弾けるような笑顔で。
呆然とした。
めぐみが笑っていたことに、じゃない。
自分が、そんなめぐみの笑顔を“忘れてしまっていたコト”に、だった。
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