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遠すぎた青空

[308]  マリッチ  2007-12-05投稿
その日は 駅のコインロッカーに荷物を預けて そのままお台場に向かった
『お台場の観覧車はねぇ、てっぺんまで行った時、好きなカップルがキスをすると結ばれると言うジンクスがあるんだよ』
と、ヒロは流暢な標準語で言った。
秋田の地元の高校を出て直ぐに就職した私は、東京に憧れのような物を感じていた。
パッと見 決してカッコイイと言えるヒロではなかったが 笑うと、目尻に刻まれた、複数のシワが、とても素敵で愛おしくさえ思えた。

観覧車に乗りながら、お台場の綺麗な夜景に見とれていた私に ヒロが不意にキスをしてきた。
観覧車の頂上に来たんだな と思ったら そのままヒロに抱き着き、流れる涙を止められなかった。
『ずっと一緒にいようね、俺が奈未を守るから…』と抱きしめた。

東浦和の駅近くにあるヒロのアパートに泊まった次の日
ヒロが
『ねえ、しばらくウイークリーマンションでも借りないか?お前の旦那と俺の母親が連絡取ってるみたいなんだよ、お前の旦那、半分気がおかしくなってるから突然やってきて何するかわからないからな、落ち着くまでだよ』
私は、自分の全財産を持ってきたと言っても、ヒロのアパートに身を寄せるつもりで着の身着のまま出てきたから高額な出費に戸惑った。
それでも 旦那の恐ろしさを考えると やはり借りた方がいいと言う結論になった。
しばらくはヒロがアパートと私のマンションを行き来することとなった。


『じいちゃんのチャリンコなんだ、後ろに乗るか?』
久しぶりのヒロの休日に二人ともはしゃいだ。

ヒロのアパートを出て私を駅まで送る道 自転車に乗る二人の周りをハラハラと紅葉した桜の葉が舞った。
『ねえ、ヒロ、来年は、ここのお花見出来たらいいね』
『…出来るさ…』
必死に 自転車を漕ぎながら 二人の明日だけを考えようとするヒロがいた。

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