携帯小説!(PC版)

飛べない翼

[268]  ふじわら れん  2007-12-06投稿
その白く美しく大きな翼で
何処までも飛んで行く

昨日の青空を
今日の月を通り抜け
雨を切り裂いて
風と一緒に
何処までも 何処までも飛んで行く

少し疲れて羽を休めた

疲れて 疲れて
動けなくなり
そのまま眠りについた

目がさめて羽を繕う
その翼は
薄汚れて小さくなり
飛べなくなっていた

飛べない鳥はいらない
飛べない鳥は死んだほうがまし

その小さくなった羽で
身を隠し
小さく 小さく
心まで…

しばらくして 鳥は
その小さく薄汚れた羽を見つめて
今まで飛んできた空を思い出した

暑い日差しが照りつける日も
雨の日も
風の強い日も
冬の寒さに凍える日も
一緒になって飛んできたあの空を…

そして翼をなでてこう言った
「今までありがとう
これからは僕の足で
歩くから
君をつれて
何処までも 何処までも 歩くから…」

そうして鳥は
その細い足で
歩き出した

ゆっくりと
一歩 一歩
大地を踏みしめて
明日に向かって
自分の進むべき道に向かって

歩き出した…

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