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彼の恋人

[188]  高橋晶子  2007-12-08投稿
夏休みは裕介達と予定が合わず、予備校の講習会と親戚付き合いで潰れてしまった。
博文の所は親戚の出産ラッシュで、赤子のお披露目のために親戚が次々と松風家に訪れた。嬉々として赤子を抱きしめる親戚を目の当たりにして、博文は佳純の苦悩を避けて喜べなかった。どう足掻いても佳純に子を成す術は絶たれてしまうからだ。
「やーん、博文君たら可愛いベビーの前で仏頂面はないでしょう!?」
最年長の従姉にきつくたしなめられてしまった。息子は生後4ヶ月。40歳で初産だったという。

休み明けの話題は専ら受験勉強となる。そんな中、臨は亜鶴と一緒に奈良見物に行ってきたという。
「『奈良女受けるなら、一緒に大学巡りをしよう』って亜鶴に誘われたの。亜鶴が受ける大学のキャンパスが奈良にあるんだって。古の情緒に囲まれた青春も悪くないね〜」
この夏は本当に勉強漬けだった千聖と裕介はハッとした。
「しまった! 早慶上智を受けるなら東京見物って手があったか!」
「おいおい、3連休に大学見学するチャンスがあるだろ? 土日祝日とか……」
孝政が別の話題を博文に振る。
「所で、英語科の2年生はオーストラリアで2週間くらい語学研修に行ってたよね。名波ちゃんからお土産貰ってなかった?」
「くれる訳ナイナイ」

掃除が始まる直前に、博文は机に落書きを残した。

夏休みに何してたの?
オレは受験勉強と親戚付き合いであっという間さ。

部活動をはさんで、定時制の面々が久し振りに顔を揃える。放課後の教室で勉強に勤しんだ博文は校舎を出る時、背後から佳純にしがみ付かれた。柔らかな感触だった。
「ひーろふーみくーん!」
「あ゛あ゛ぁ―――っ!!」
「みんな受験だ部活だ生徒会だって遠慮し合ってファミレスに集まろうとしないから、寂しかったんだよ!」
佳純は両手両足で博文にしがみ付き、離れようとしない。その時は裕介と千聖が一緒にいたので、余計に困惑した。千聖が見かねて諭そうとする。
「先輩、その辺にしたらどうです? 博文が嫌がってますから」
佳純が博文にしがみ付いた両手両足をほどいた時、初めて気が付いた。性ホルモン治療の効果で、佳純の身体が女性化している事を……。

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