刹那の光?
「本当、アイツだけは苦手だよ。」と弘毅は鞄に手を入れながら言った。「あれ?弁当がねぇよ。」「家に置いてきたんじゃね?」駆流は笑いながら言う。「探し物はこれカナ?」「またお前かよ・・・」俺の弁当お満面の笑みで差し出したのはこれまた幼馴染みの酒島蓮音(さかじまはすね)だ。「また人の弁当あさったろ?」「失敬な。今日は弘のお母さんに頼まれて渡されたのよ。」コイツはいつも俺の家に朝迎えに来る。勿論、駆流も来るが蓮音は余りにも遅刻が酷いため先に行っている。蓮音は、「女にはいろいろと用意がいるの〜。」等と言っていつも笑って誤魔化す。そして低血圧らしい。・・・勿論、本人談。蓮「今日は私が遅刻して良かったね〜?」弘「たまにはお前も役に立つな。」蓮「たまにって何ヨ?」駆流は夢中で弁当をむさぼっている。その弁当に向けられた眼差しは真剣そのものだ。弘「・・・前言撤回。」駆「何が?」弘「だし巻き卵無くなってるし・・・」蓮「配達料♪だって弘のお母さんのだし巻き卵世界一美味しいんだもん!。」蓮音は俺の母親のだし巻き卵が大の好物だ。蓮音が家に来たときは醤油味のだし巻き卵が必ず並ぶ。カレーにだし巻き卵。ビーフシチューにだし巻き卵。はたまたパーティー料にだし巻き卵・・・。だから蓮音が来るときは少なからず気分的に落ちる。朝は弁当の残りのだし巻き卵を食べ、昼に弁当に入っている。さらに蓮音が来る時は夜もだし巻き卵・・・。溜ったものではない。弘「お前、そんなにだし巻き卵好きならお袋に教わって自分で作って丸ごと二本くらいもってくればいいじゃん。」蓮「ダメダメ!弘のお母さんじゃないとこの味は出せないのだ♪」駆流がいきなり口を挟む。駆「・・・てかいきなり悪いけどさ〜、あと五分で昼休み終るぞ?」蓮音と弘毅は狂ったように弁当をかけ込んでから、三人は急いで教室に向かって走り出した。
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