携帯小説!(PC版)

夢負人?

[340]  朝顔  2007-12-11投稿

「野球……何でしないんだ」
「え……?」
今までとは違い低く冷たい声に悠斗の体は強ばった。
「田上のせいじゃないって何度も言って……」
「だったら何でやめたんだ!おばさんの事はわかってる……でもやめた理由にはならないだろ!」
真っ赤に腫れた目が悠斗を睨んでいた。
「俺はお前にいつも通りの日常を送って貰いたかったんだ。俺の怪我なんか忘れて、野球を楽しんで貰いたかったんだ。だから……」
「嘘だ!」
目の前にいる田上はいつもの親友の顔ではなかった。悠斗を恨んでいる他人の顔。
「お前……恐いんだろ」
その言葉に悠斗は確信をつかれた気がした。
「卑怯だ!おばさんのせいにして怪我のせいにして……お前は逃げたんだ。野球から、俺から逃げたんだ!」
「田上、聞けよ!」
「お前は臆病者だ!」
「……っ黙れ!」
いつの間にか悠斗の顔にも怒りが現れていた。それに気づき田上は口元を緩ませた。
「やっぱり……何が助けてやるだ親友だ。お前は俺が憎かったんだろ!?」
「お前に俺の気持ちなんか解るかよ!」
田上は気づいていたんだ。自分が試合に出れなかった悔しさを、何も気にせず野球が出来る田上に嫉妬していた事を。
それに気付いてしまったからこそ言葉が止められなくなっていた。
「言えよ……はっきり言えよ!」
「お前さえいなければ俺は野球を続けてられたんだ!」
言ってしまった。ずっと心にしまっていた汚い感情をとうとうぶつけてしまった。
田上は悪くない。それでも田上があの日キャッチボールなんかしなければ、暴投しなければという考えは頭から離れなかった。

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