親指サムの話
親指サムはジョナサンを愛していました。
心から愛していました。
だからどこへ行くのにもいつも一緒。
ジョナサンがあっちへ行けばサムもあっちへ。
ジョナサンがこっちへ行けばサムもこっちへ。
ジョナサンの隣にはいつも親指サムがいます。
だからサムの隣にはいつもジョナサンだけがいました。
だけど。
ジョナサンの隣にいるのは親指サムだけじゃなかった。
ジョージというその男性はスラリとスマートなスポーツマン。
何でも器用なジョナサンと並べば、なんとお似合いなカップルでしょう。
それを見ていた親指サムは、なんとも悲しい気持ちになりました。
でもサムは諦めたわけではありません。
みんなと少し離れたところで、ジョナサンに振り向いてもらえるように、いつも頑張っています。
みんなが丸まっても一人で外へ。誰よりも太く、強く。今日も頑張っているのです。
いつの日か、ジョナサンが振り向いてくれるその日まで。
今日も頑張っているでしょう?
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