ロジック 第1部 ?
『…なんだよ』
『ユウシとミズキが…デキてる、らしい』
『…マジ、かい!?』
ユウシ、中牧雄士(ナカマキ ユウシ)といえば、容姿からしても「モテない」男なのだが、その相手が問題である。ミズキこと春山美月(ハルヤマ ミズキ)は、学年で1、2を争う美人だ。当然、ユウシなんかと釣り合うはずがない。
『なんでまたそんなウワサが?』
『うん、なんか、2人がラブホから出てくるのを、見ちゃった奴がいんのよ』
一瞬、その図が頭に構築される。が、すぐに消し飛んだ。
『…ありえね〜っ!!なんか、その、援交とかじゃなくて!?』
『さぁな。それでさ、ハル。その真相を確かめたいと思わねぇ?今日の授業終わったらさ、後つけてみよ〜よ!!』
とても楽しそうに、サクが言う。…コイツ、最悪な野郎だ。そして、出来るならサクと共に尾行してみたい、と思った俺も同類だ。
まぁ、あくまで「出来るなら」だが…。
『サク…』
『あっ…』
サクは俺が言わんとしたことに気付いてくれたようだ。
『そうだったな、今日は…。んじゃ、明日以降、ってことで』
『…悪いな、サク』
そう、今日、俺にはちょっと大切な用事がある…。
* * *
授業が終わって、俺は急いでバスに乗り込む。いつも帰りに乗るのとは反対方向へ。今から俺は、桜咲く春らしい場所とは無縁の、寂しい雑木林に行く。
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