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航宙機動部隊前史・26

[497]  まっかつ  2007-12-15投稿
だが、それは本当に彼等定住民達が思っていた事なのだろうか?
否。
より正確には、彼等が自らそう考えようと望んだ憎しみ・憤りだったのだろうか?

確かに地球時代末と較べれば、人々の知識・教育水準は日進月歩で向上していた。
だが、航宙遊牧民族は更に上を行っていた。
更に言えば、宙際連合側でのエリート層と一般市民層とのこの分野に置ける格差は極めて大きかった。
一部上層が知識・情報を独占し、圧倒的多数の大衆を《愚民》としてコントロールする―地球時代末よりは遥かにマシになったとは言え、航宙遊牧民族と比較すれば、確かに宙際連合側にそう言った傾向・もしくは意図が有った事は否定出来ない。
少なく共、優れた指導者が全体を指揮・統率すると言うスタイルが定住型宇宙文明では受け入れられ易いのは事実だった。

後の研究によって、惑星開発者・入植者達が激しい憎悪を航宙遊牧民族に抱くに至った過程には、しばしば時の為政者・政権側の影が見え隠れすると言う事は、良く指摘されている。
情報操作・世論誘導・扇動・思想統制―彼等有人惑星や幾多の小国の市民の不満・不信が体制側に向かわない様に、或いは離脱されない様に、宙際連合はそれを航宙遊牧民族へと向ける様に仕組んだと言う疑いがあった。
そして、そのシナリオを描いたのが宗教界―今だ結論は出ていないが、恐らくはこうではなかったのかと言う仮説・憶測を多数産み出すだけの土壌がそこには有った。

その仮説に従えば、宙際連合一般市民の大半が、一部の利益と思惑によって作られた原因に脅え・見せられた敵に怒り・そして憎んだのではなく憎まされたのであり、更に他者の手によって信じされられていたと言う事をすら自分の意思で考え、選択し、信じていると思い込まされ、疑いもしなかった―と言う事になる。
だとしたら、彼等は巧みに騙され・誤魔化され・操られながら誘導されていた事になる。
そう、戦争に―\r

もちろんこれは仮説だ。
今分かっている事は、宗教的なまでの熱狂が彼等を覆い、宙際連合の対航宙遊牧民族征服政策を大きく後押ししたと言う、歴史的事実だ。
奴等は文明に逆らう蛮夷だ!
王道に盾突く夷狄だ!
人倫にもとる悪魔の業を成し更に人類自体を進化の名の元に改造しようとすらしている!
征服せよ!
征服して王道の民として再教育すべきだ!

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