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グラスコード?

[263]  紫幸 燈子  2007-12-16投稿
…“アレ”が、彼女とのハジメテの出逢いだった…。

「あの時は、本当に何事かと思ったよ…」


僕は、また紅茶を口に運んだ。彼女は、じぃ〜っと僕だけを、唯唯…見つめている。


「だって、外での食事って美味しく感じるんだもん。」

プイッと、口を尖らせソッポを向く。それでも…“アレ”は無いだろう…と苦笑いをした。その時、微かに彼女の耳元でピアスが揺れるのを見た。

「そのピアス…」

僕が、ソッと彼女の耳元で、揺れている三日月を象ったピアスに触れる。
…僕が、初めてプレゼントしたモノだ…。


「あぁ…コレ?キミが、ハジメテくれたヤツだよね。」

さっき迄、口を尖らせていた彼女の顔が、ぱぁぁっと微笑みに変わった。本当に良く表情を変える娘だ…。僕は、少し愛おしく感じる。それと同時に、消えてしまうのでは無いかと不安にもなった。

「…結構…気に入ってるよ。」

彼女は、そう言って口許だけを緩め、自分の耳元にある僕の手に自分の手を重ねた。思わず身体が、びくっとなる。

「?」

彼女は、不思議そうに首を傾げる。僕が急に顔を赤くしたから、疑問に思ったのだろう。


「どしたの?」

キョトン。とした赴きで、僕の顔を見る。


「…否…別に…」


僕が下を向いて生半可な返事を返すと、彼女は…あっ…と何かに気付いた様な声をあげる。


「…大丈夫。消えたりしないよ?」

そう言うと、もう片手で僕の手を包み込む様にして軽く握り締めた。

「…!」

僕は急いで…顔を上げて彼女を見た。彼女は…ふふっと笑みを浮かべると…“大丈夫”と、また優しく囁いた。

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