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彼の恋人

[98]  高橋晶子  2007-12-19投稿
久し振りに11人が揃った次の日、漸く落書きの返事がきた。

家にいる時は宿題。
あとはバイトと病院。
これでは普段の生活と変わらないな。

博文は佳純と落書きし合っているのではないかと思った。定時制は宿題の量が半端ではないと聞く。バイトをしながら病院に通う日々では、佳純以外に考えられない。

休み時間、博文は孝政のクラスを覗く。3人の女子生徒に囲まれながら談笑している様だ。その時、孝政が手にしている本が気になって堪らず押し掛けた。
「モーリー。廊下で話を立ち聞きして押し掛けたら、ロマンチックな恋愛話かよ?」
「うん、丁度スピリチュアルな恋愛本を一緒に読んでた所なんだ。結構気になる箇所が幾つもあるんだー」
その本はカラフルな付箋で貼り尽くされている。孝政は付箋に沿ってページを開き、博文に「これ!」と言って一つの項目を指し示した。
「?」
「『恋人に自分以外の好きな人の影が現れた時は、潔く引き下がって相手の幸せのみを願うべき』だってさ。それって『縁の切れ目であって、幸せの外れ籤を引いたと思って諦めなさい』と書いてあるよ」
片想いのまま自然消滅しただけの恋愛経験にはピンとこない話だ。孝政は更にページを開く。
「『結ばれた相手が好みのタイプではないからと言って、卑屈になる事はない。好きな人に捨てられた自分を拾い上げた人だから、何も言わなくても感謝しなさい』? 負い目を抱く必要はないって事か?」
「そうだね。そこで不貞腐れるのは自分本位の証拠! でもこれって受験に似てるよね? 大本命に見放されても滑り止めをキープしさえすれば妥協も許される理屈だもん。桜庭の子達は堪えてるんじゃないかな?」
恋愛と受験を同じ次元で語られるのは、正直言って気が引けた。
しかし、博文の不安はそんなものではない。孝政にはクラスの男友達が少ないのだ。裕介も気に掛けている。モテる訳ではないのに、女子生徒と仲がいいだけで男子に妬まれていた孝政だったが、高校に入ってからは理不尽な仕打ちを受ける事はなくなった。それでも男友達は少ないのだ。
「あからさまに女向けの本を読んでて、クラスの男子は何とも思わないのか?」
「うん!」

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