aki-第2章-?
「どうぞ。」
私は哲ちゃんをソファに促して、すぐにエプロンをしながらキッチンに向かった。
亮ちゃんはニコニコしながら、ビールの瓶をグラスにかたむける。
グラスの中で泡が弾ける音がした。
「今さ、哲ちゃん何してたんだよ?久しぶりだよなぁ。」
亮ちゃんと哲ちゃんの会話がより一層家の中を温かい色の灯りみたいなオレンジ色に染める。
食事が並び、優しい夫が隣で夫の友人と楽しそうにしている。
誰もが1度は憧れる風景。
私には、それがここにある。
何もいう事はないじゃないか。
これ程の幸せがどこにあるのだ。
何ひとつ取り柄のない私にとっては、充分過ぎるくらいの幸せじゃないか。
ふと、テーブルの隅を見ると、哲ちゃんの名刺があった。
私がいつも使っている淡いピンク色のマグカップが、私の手から滑り落ちた。
ガシャンッ!!――――――
亮ちゃんと哲ちゃんが驚いた目で私に視線を注ぐ。
「おい、大丈夫か?」
亮ちゃんが慌てて心配している。
哲ちゃんの名刺は、彼の―――戸川さんの名刺と同じデザインで、同じ会社名の文字が当たり前のように並んでいた。
「あ…ごめんなさい。すぐ片付けるね。」
また、こう言いながらも自分がどんな顔を今しているのかわからなくなる。
ふと気付くと、右手の人差し指が切れて血が滲んでいた。
気にしちゃいけない。思い出したらいけない。
それでも、彼の笑顔を私は鮮明に覚えているのだ。
私は哲ちゃんをソファに促して、すぐにエプロンをしながらキッチンに向かった。
亮ちゃんはニコニコしながら、ビールの瓶をグラスにかたむける。
グラスの中で泡が弾ける音がした。
「今さ、哲ちゃん何してたんだよ?久しぶりだよなぁ。」
亮ちゃんと哲ちゃんの会話がより一層家の中を温かい色の灯りみたいなオレンジ色に染める。
食事が並び、優しい夫が隣で夫の友人と楽しそうにしている。
誰もが1度は憧れる風景。
私には、それがここにある。
何もいう事はないじゃないか。
これ程の幸せがどこにあるのだ。
何ひとつ取り柄のない私にとっては、充分過ぎるくらいの幸せじゃないか。
ふと、テーブルの隅を見ると、哲ちゃんの名刺があった。
私がいつも使っている淡いピンク色のマグカップが、私の手から滑り落ちた。
ガシャンッ!!――――――
亮ちゃんと哲ちゃんが驚いた目で私に視線を注ぐ。
「おい、大丈夫か?」
亮ちゃんが慌てて心配している。
哲ちゃんの名刺は、彼の―――戸川さんの名刺と同じデザインで、同じ会社名の文字が当たり前のように並んでいた。
「あ…ごめんなさい。すぐ片付けるね。」
また、こう言いながらも自分がどんな顔を今しているのかわからなくなる。
ふと気付くと、右手の人差し指が切れて血が滲んでいた。
気にしちゃいけない。思い出したらいけない。
それでも、彼の笑顔を私は鮮明に覚えているのだ。
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