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ティシュと商人の街?

[443]  朝顔  2007-12-20投稿

晴れ渡る青空の下、エメラルドに染まる海の上に小舟が一つ。
向かう先は商人の街・ラバンティア。各国から偉大な戦士や科学者が集う、世界最大の商いの島だ。
今日も一人、ラバンティアに憧れを抱き島を目指す少年がいた。彼の名前はティシュ。夢はラバンティアで店を出す事。若干12歳にして彼が求めたものは壮大で、期待と不安に胸が躍らされていた。
「それでさ、そのおばちゃん酷いんだぜ。俺には絶対無理だ、すぐに泣いて帰ってくるって最後まで猛反対!」
次々に出てくる島の住人の話を、小舟の主で老人は聞き流していた。
ティシュを乗せて一週間。寝る間も惜しみ漕ぎ続けた疲れもあり黙ったままだ。
「聞いてんのかよ、おっちゃん!」
ティシュが暴れる度に小舟は大きく揺れ、跳ねた海水が老人の顔を伝った。
「止めねぇかクソガキ」
「はい……ごめんなさい」
素直に言うことを聞くのは、老人といえど太くがっちりとした腕に気付いていたからだ。
不況の時代に歳をとった老人に出来る仕事など少ない。回ってくるのはいつも面倒な客ばかり。ティシュも例外ではなかった。
「そ、そんなに怒るなよ。ほらコレあげるからさ」
背負っていたリュックからティシュが取り出したのは花びら一枚で作られたブローチ。高価でないのはすぐに判ったがなかなか精巧に作られていた。
「いらん」
「そんな事言わねーでさ!」
無理矢理左胸につけてやった。満面の笑顔でブローチを眺めるティシュ。
「俺が作ったんだ。カシオの花で成功したのはこれだけだ。限定品だぜ?」
嬉しそうに話すティシュとは正反対に老人はまた黙って漕ぎ続けた。
その後もブローチを作った過程を話続けるティシュ。海の色が薄くなってきた頃、老人はスピードを落とし南方を見た。
「……着くぞ」
視線の先を追い見つけたものは、深い緑に染まる島だった。
「あれが……ラバンティア……」

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