小判 第2話
巳之吉(みのきち)は朝早くからの木更津への味噌運びの帰りに、人が倒れているのを見つけた。ゆっくり近づいてみたらどうやら若い娘のようだった。
「おい、大丈夫か?娘さん、娘さん」
「うっ、う〜ん」
巳之吉が体をゆすりながら声をかけてみたら反応があった。
「良かった。生きてる。よし、ここからなら江戸までそうかからねえ。おい為吉(ためきち)、養生所へ運ぶぞ、手伝ってくれ」
「へい」
そう言ってなぜか為吉は味噌樽のふたをあけたので 「バァロウ、病人をそんなとこにいれるヤツがあるか、そこの隙間に寝かせるんだよ」
そう言って巳之吉は為吉の手を借りて大八車に娘を乗せると一目散に江戸にとんだ。
江戸の養生所につくと娘はすぐに奥の診察部屋に運ばれ、巳之吉と為吉は看護師の女に『薬師(くすし)かるた』はあるかと聞かれていた。現代でいう個人別のカード式健康保険証である 「そりゃあ、あの娘に聞いてくれよ。俺達は帰らしてもらうぜ」
「困ります。かるたをもし持ってなかったら通例診(み)たて料をいただかなくてはならなくなります」
「ま、しょうがねえか」 巳之吉はそう言って懐に手をしのばせた(続)
「おい、大丈夫か?娘さん、娘さん」
「うっ、う〜ん」
巳之吉が体をゆすりながら声をかけてみたら反応があった。
「良かった。生きてる。よし、ここからなら江戸までそうかからねえ。おい為吉(ためきち)、養生所へ運ぶぞ、手伝ってくれ」
「へい」
そう言ってなぜか為吉は味噌樽のふたをあけたので 「バァロウ、病人をそんなとこにいれるヤツがあるか、そこの隙間に寝かせるんだよ」
そう言って巳之吉は為吉の手を借りて大八車に娘を乗せると一目散に江戸にとんだ。
江戸の養生所につくと娘はすぐに奥の診察部屋に運ばれ、巳之吉と為吉は看護師の女に『薬師(くすし)かるた』はあるかと聞かれていた。現代でいう個人別のカード式健康保険証である 「そりゃあ、あの娘に聞いてくれよ。俺達は帰らしてもらうぜ」
「困ります。かるたをもし持ってなかったら通例診(み)たて料をいただかなくてはならなくなります」
「ま、しょうがねえか」 巳之吉はそう言って懐に手をしのばせた(続)
感想
感想はありません。