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最後の歌?

[269]  雨津  2006-04-04投稿
維津歌と会ったあの日から3日がたっていた…。「マジかよ!?超うけるって」けらけら笑いながら少年が言った。 茜は思った…こいつに話した俺が馬鹿だったと…。「おいっ!!皆聞けよ!茜の奴会ったばっかりの女とチューして泣かせたらしぃぜ!!!」少年が周りにいた少年達に呼びかけた。「馬鹿ユゥ!!!黙れ!!」茜は慌てて言ったがもう遅い…あぁ、ホントにこいつに話した俺が馬鹿だった!!!
「おいおいマジかよ〜!?可愛い茜ちゃんが女泣かせたって??」「いけませんな〜」「可愛い顔して悪いガキだな!!」周りの少年達が集まって来る。いつものメンバー、どいつもこいつも半笑いだ!!
「クソ野郎共!!!」茜が言った…あぁ、最悪だ。「コラコラ、茜ちゃん!!可愛い顔してそんなこと言っちゃいけません!!」少年達の悪ふざけは少しも止む気配がない。
こうなったらもう駄目だ!!茜は急いで逃げようとしたが、諸悪の根源、田原祐一ことユゥに腕を捕まれる…。「さぁ、茜ちゃん!!皆にも話してあげてよ♪」祐一がニヤニヤ笑いながら言った…「マジで、このっクソ野郎共!!!」真っ赤になった茜が言った…。
そして俺はまたここにきてしまった。放課後少年達は一目散にあのボロアパートに向かった。嫌がる茜を引き連れて…。維津歌の事を洗いざらい吐かされた後、少年達の悪ふざけの延長で皆で維津歌に会いに行く事になったのだ。と言っても…茜が一人で会いにきたと見せかけて、維津歌が出てきたところを隠れて見ていた少年達が押さえる!!!というどうしようもなく馬鹿馬鹿しい作戦である。「何でこんな事に…」少年達が隠れた後、茜は言った。だいたいもうここに来るつもりはなかったのに…維津歌に会いたくない。気まずい…、それにこんな事して悪ふざけが過ぎてる。あいつら、ふざけやがって!!茜はもう半泣きだ。
だいたいここには嫌な思い出しかない…。
茜はゆっくりと非常階段を上がった…。
どうか維津歌がいませんように!!!そう願いながら……。
階段を上がりきって、屋上にでた。辺りを見回し、ドアを開けてみたが、維津歌は何処にもいなかった。あの日とは違ってよく晴れた昼下がりだった。少年達は美人な維津歌見たさに日暮れまで張り付いていたが、その日維津歌は現れなかった。変な事には粘り強い少年達は5日もボロアパートに張り付いたが、結局、維津歌は一度も現れなかった…。
いづれの日もよく晴れた日だった…。

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