ティシュと商人の街?
老人を見送った後列に並んだティシュ。
ゲートには豪勢に飾られたプレートにラバンティアと書かれていた。前の人も後ろの人も防具服やスーツを身に纏い、この街にそれぞれ違う物を求めて来たのだという事が判った。
なかなか列は縮まらない。けれどティシュにとってそれは苦にならず、あのゲートを過ぎた街の風景を勝手に想像しほくそ笑んだ。
徐々に近づくにつれゲートで何やら門兵が旅人に話しかけているのが見えた。旅の目的でも聞かれるのだろうか。そしたらはっきり夢を語ってやろうとうずうずしているティシュ。
「ちょっとごめんよ」
突然ティシュを押しのけるように後ろを横切った少年がいた。反動で前の人にぶつかってしまい、愛想笑いで謝るティシュ。
「何だよあいつ。変な帽子」
犬のような耳をつけた帽子を被っていた少年はそのまま海岸の方へ歩いて行ってしまった。
気を取られているうちに列は進んでおり、いつの間にかティシュの番が回って来ていた。
門兵は両脇に一人づつ。一人で来たであろうティシュを不安気に見ると掌をさしだしこう言った。
「入島料200Gね」
「金取るのかよ!?」
やっぱり、という顔をした門兵。それでも差しだした掌は引っ込めない。
「ちぇっ」
渋々リュックからお金の入った袋を取り出すティシュ。しかしいくら中を探っても見つからなかった。
「君……不法入島者?」
「ち、ちげーよ!待ってろ今出すから!」
中身を砂浜に投げリュックを空にしても袋どころか一銭も出てこない。
溜息をつき門兵は首にぶらさがっていた笛を二回鳴らした。すると門兵よりも体格のいい兵隊が現れティシュを担いだ。
「審査室行き決定」
どんどん列から離されるティシュ。
「待ってくれよ!確かに舟の上では入ってたんだってば!」
「問答無用」
「待てってばー!」
騒ぐティシュを何事かと見つめる列の人々。その視線を浴びながらティシュは、ゲートより少し離れた所にある建物に入れられてしまった。
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