小判 第3話
巳之吉(みのきち)は懐からなけなしの一両を出して 「まぁこれでよ、何か精のつく薬でも飲ましてやってくれよ」
そう言って巳之吉は看護師の女に一両をわたして為吉(ためきち)をつれて仕事に戻ろうとした。
「兄貴、えらい景気がいいすね。しかしいくらなんでもこんなに迄するスジはなかったんじゃねえですかい?」
「うるせえよ。まぁよく言うじゃねえか、江戸っ子は宵越しの銭は持たねえ、てよ」
そう言って見栄をきってから為吉をつれてそそくさと仕事場へむかったもののやはり巳之吉の表情は段々冴えなくなって、こうべも又段々下にたれてく様子が後ろからついてきてる為吉からも伺い知ることができた。そんな時誰やらえらい勢いで巳之吉のほうへ駆けてくるではないか。お桔(おきち)である。
「はぁ〜はぁ」
「どうしたい、別にサボってたんじゃねえぞ。それにこんな金に縁がねえシケたツラ睨んでたってしょうがねえだろ」
お桔は巳之吉のもとに駆け寄って息をきらして目をつりあげていた。
「まぁお嬢様。そんな怖い顔しないでくださいよ。アッシら人助けしてたんですよ。それに兄貴なんかねえ…」
「おい、タメ黙ってろ」続
そう言って巳之吉は看護師の女に一両をわたして為吉(ためきち)をつれて仕事に戻ろうとした。
「兄貴、えらい景気がいいすね。しかしいくらなんでもこんなに迄するスジはなかったんじゃねえですかい?」
「うるせえよ。まぁよく言うじゃねえか、江戸っ子は宵越しの銭は持たねえ、てよ」
そう言って見栄をきってから為吉をつれてそそくさと仕事場へむかったもののやはり巳之吉の表情は段々冴えなくなって、こうべも又段々下にたれてく様子が後ろからついてきてる為吉からも伺い知ることができた。そんな時誰やらえらい勢いで巳之吉のほうへ駆けてくるではないか。お桔(おきち)である。
「はぁ〜はぁ」
「どうしたい、別にサボってたんじゃねえぞ。それにこんな金に縁がねえシケたツラ睨んでたってしょうがねえだろ」
お桔は巳之吉のもとに駆け寄って息をきらして目をつりあげていた。
「まぁお嬢様。そんな怖い顔しないでくださいよ。アッシら人助けしてたんですよ。それに兄貴なんかねえ…」
「おい、タメ黙ってろ」続
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