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手長ネコとカメと月

[249]  無色楽天  2007-12-22投稿
やぁ、僕は手長ネコ。

普通のネコとはちょっと違う。

なんたって、手が長い。
どこまでだって手が届く。

なんだって器用にこなす。

バランスを考えて二足歩行だけどね。

今日は僕の夢の話さ。

突然だけど、僕には夢があるんだ。

夢はね、空が真っ暗になったときの、あの大っきな星に、手が届くことさ。

毎晩みたいけど、眠いから毎晩見れないや。

そんな、ある星を見てる日にね。

たまたま起きてた、友達の亀さんがやってきたんだ。

お昼寝が多かったのかな。

手も、足も短くて、ゆっくりしか歩けない亀さんが言ったんだ。

「あの星かい?君なら届くよ?」
本当かな?長い手を上げれるだけ上げて、僕は驚いたよ。

さて、お初にお見せします。へへっ、これは僕の愛車さ。

愛車って言っても、原付だけどね。

車は、足が届かないんだ。

今から、亀さんが教えてくれた所に行くんだ。

亀さんは眠そうだね。

森を越えて、やって来たよ。沢山の木たちと、おっきな湖がある所に。ここかな?

「ここだよ?」亀さんがいったよ。

でも、相変わらず、あの星は、おっきくて遠いな?

「大丈夫だよ」亀さんがいったよ。

わかんないや、腕だって組めちゃう長い手だけど、どうしたら届くんだろう。うーん。

「ふふっ」亀さんは笑いながら教えてくれたよ。

「こっち、ほら」

本当だ。長い手が届いたよ。

ちょっと、冷たいけど、あのおっきな星に触れたよ。

あんなに遠いものだったのに、こんなに近くで触れたよ。

冷たいけどね。

手を払って愛車にのって、眠たいから帰ったよ。
でも、ずるいや。亀さんはもっとあのおっきな星に近づいてたな。

手も長いし、泳ぐ練習でもしようかな。

明日にしよ。眠いや。

おやすみなさい。

月はそんなネコを見て、
「太陽さん、もうちょっと…」
沈むのを少し遅くした。

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