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奈央と出会えたから。?

[969]  麻呂  2007-12-22投稿
『松田君、その色いいんじゃない?松田君のイメージだよ。スーツ姿の松田君も素敵ですよ。』

大きな目をくりくりさせて彼女が言った。

『そぉ〜お?!俺は元々カッコイイから。‥なぁ〜んてね。』

『あはは‥。』

へぇ‥。彼女は笑うとえくぼが二つ出るんだ。

昨日は気が付かなかったけど、
やっぱ可愛い‥。


『孫にも衣装って言うじゃん。』

俺は照れ隠しにそう言った。


『自分で言ってる。そんな事ないよ。
松田君カッコイイ顔してるし。』


勿論、社交辞令だとは思ったが彼女に褒められて悪い気はしなかった。


『ハハハ。ありがと。お世辞でも嬉しいよ。』


そんなたわいない話をしながら、俺は彼女に見立ててもらったスーツを試着し、購入して店を出たーー。


『あたしの家は東区なんです。地下鉄乗りましょうか。』


『地下鉄なんだ?車には乗らないの?』

俺の不躾な質問にも彼女は笑顔で答えた。


『乗るのは夏場だけ。冬道はやっぱり怖くて。あたし実家は小樽なんです。
札幌は交通量が多くて、あたしの運転じゃ無理。』


『札幌に来てまだ日が浅いとか?』


『うん。まだ2年位かな。高校卒業してすぐ札幌に住み始めたから。』


彼女は俺の誘導尋問にも素直に答えてくれた。


『へぇ‥。じゃあ木下さん、まだ21位?俺よか4つも若いじゃん。』


『うん21です。
松田君、あたしより4つもお兄さんなんですね。どおりで落ち着いてると思った。』


『ハハハ。俺落ち着いてなんてないよ。落ち着いてる人がネットカフェ難民なんてしないでしょ?』

思わぬ彼女の言葉に俺は気恥ずかしくなった。


『あは。そだね。』

そう言って彼女は笑った。



地下鉄の乗り場まで歩くのに何分掛かったろうか。


彼女と話している時の俺はとてもテンションが高く、凄く饒舌になる。

元々無口な方だと思っていた俺にとっては、意外な自分発見だった。


4つ目の駅に着くと、俺達は地下鉄を降りたーー。

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