レジェンド‐新世紀伝説 10
お転婆
「ここのリーダーが誰か聞いてから来たのか?ドラゴン」
「‥…いや、ただ男手がないし、不穏な噂があるからって言われただけさ」
ちょっと思わせぶりな態度のリンに、山際晋は怪訝な顔。
「まぁ、会えばわかるさ」
ククッと含み笑いをしながら剛(ごう)。
「あ!晋兄ちゃんじゃないの!! か弱き乙女を救いに来てくれたのね」
集落の入り口で竹の防御柵づくりを指図していた娘が、晋の姿に気付いて手を振ってきた。
「… イーズ、か弱いって言葉の意味わかって使ってる?」
「あ、ひどーい。 あたくしはもう、大人の女でございますのよ、オホホ」
口の傍に手をやり、気取って返事する娘を晋はやれやれといった顔で見ていた。
リンと剛はプッと吹き出している。
この女ばかりの集落を率いている段英子(たん・いーず)は山際晋の師匠の娘である。 やはり彼女もカンフーを身につけている。
向うっ気の強さと勁の強大さから、『猛虎』と陰口を叩かれていた女傑である。
うーん… 襲ってくる連中の方が気の毒?……
テキパキと指示を下しながら方々を飛び回るイーズを眺めていた山際晋は、こっそりと呟いていた。
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