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航宙機動部隊前史・27

[467]  まっかつ  2007-12-23投稿
中央域による航宙遊牧民族勢力への討伐作戦は、前後七回・四0年間にも及んだ。
宙際連合はまず、経済分野から彼等を締め出すべく《ゴッズハンド》と呼ばれる半ば狂気じみた一方的な規制群を施行した。
特にその中でも、第八0八条【情報言語規格複数併用化措置に関する提言】、第一0九三〜四条【宙際連合加盟国及びその管制領域並びに公宙の全てを航行する船舶の許可制の改正と許可を与える船舶の新基準体系】の両者は、航宙遊牧民族を激怒させ、戦争に追い込んだ最大要因になったとされている。
平たく言えば、あれだけ苦労して築き上げて来た航宙遊牧民族の独占分野、ネット集合体・交易の二大市場を中央域に無条件で明け渡せ、さもなくば出て行け―こう命令したに等しいのだ。
怒らない分けがない。

時の航宙遊牧民族群の指導者はテュルクメン共祖集団系に属するキルズィット=ハーンだった。
彼は飽くまでも宙際連合との融和を志したが、《ゴッズハンド》に逆上した過激派に暗殺されてしまうと、最早航宙遊牧民族陣営に戦争を止めれる存在は居なくなってしまった。

だが、後代の研究によると、経済・技術・人材・軍事・情報の五分野全てに置いて、航宙遊牧民族側に明らかに分があった。
それ所か、同時代の下馬評でも、宙際連合に勝算を認める者は無きに等しかった。
例えば戦闘の主役になる恒星間機動部隊の艦船一つ取っても、航宙遊牧民族の戦艦《ケレイト》級は、搭乗員数三000名で、一隻で半径五000万kMをカバーし、大小関わらず一度に六00もの目標を補足し、優先順から八0秒でその全てに最も適切な兵装で攻撃を加え、同時に電磁防御膜と迎撃射撃システムとで全方位防御をこなすと言う化け物みたいな性能を持っていたが、宙際連合軍がこれと同じだけの働きをする為にはその一0倍もの艦数が必要だった。
しかも、宙際連合側の同型艦は、常に航宙遊牧民族の二倍の人員を要するのが常識だった。
詰まり、戦場では航宙遊牧民族の艦隊は一人当たり宙際連合軍二0人分もの働きを示す事が出来たのである。
そして、その実力差は各宙域の戦いに置いて如実に証明された。
中には航宙遊牧民族の十倍の艦隊をかき集めた中央域の大軍が、完膚無きまでに打ち破られ、航宙遊牧民族側の損失は味方同士の衝突二隻のみとか言う漫画みたいな戦闘まであった。

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