携帯小説!(PC版)

獅子の刃

[314]  弥依  2006-04-05投稿
白銀(しろがね)の刃が煌めく。
月夜に閃くそれは、とても美しかった。
刃を握る者は、静かに眼を閉じる。
そして声を聞く。

『獅子の名を冠す者よ、望みはなんだ。』

刃を月に掲げ、その者が答えた。

「邪鬼を、切る。」

そして振り向きざまに、刃を横一閃に振った。

黒い塊が両断され、音を立てることなく消えていく。

そのかわりに、断末魔の叫びが木霊した。

月は静かにそれを見ていた。あの光景が当たり前のことであるのかのように。

【獅子の裁きはいつか必ず下される。】

誰かがそう言ったのを、月は黙って聞いていた。

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