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ばいばい、浩介 ?

[286]  木村よし  2007-12-25投稿

「どうしたの?そんな走って…」


「お前に、まだ言ってないこと、あったから」


そう言って、浩介はゆっくりと頭を上げた。
二人の視線が、絡まる。


「好きだ」


何限目かのチャイムが、静かに響いた。


「お前のこと、ずっと好きだった」


長い影がゆらりと動く。


「浩…」


「あ、返事はさ、また今度でいいから」


言いながら、浩介は恥ずかしそうに頭を掻いた。


「じゃ、またな」


最後に浩介は、いつもみたいに明るく笑って。


ゆっくりと、校舎の方へと歩き出した。


夕日の色に染まるその背中が、段々と小さくなっていく。


涙が、知らない間に溢れていて。


瞬きするたびに、ボロボロと止まらなくて。

ねえ、浩介。


もう、次なんて無いかもしれないんだよ?


なのに。


それなのに。


「こうすけー!」


私の大きな声が、乾いた空気によく響いた。


ずっと遠くにある浩介の背中がビクってなって、こちらに振り返る。


「私もー、ずうっと浩介のことー、好きだったよー!」


また、きっと会える。

いつになるかは分からないけど。


でも、きっとまた会える。


そう、信じてみるから。


私、頑張るから。


「浩介ー!」


だけどそれまでは。


「ばいばーい!」



私はそう言って、笑顔で大きく手を降った。


おわり☆

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