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奈央と出会えたから。?

[933]  麻呂  2007-12-25投稿
〜訂正とお詫び〜
第14話の中の智也と奈央の会話の中で『孫にも衣装』と言う言葉が出て来ますが、正しくは『馬子にも衣装』です。間違えてしまってゴメンナサイ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜奈央と出会えたから。?

『冗談キツイよ木下さん。』


頭を掻きながら俺は言った。



『‥奈央でいいよ。』


テーブルの上を片付けていた彼女が一瞬手を止め、にっこり笑ってそう言った。


『じゃあ、俺の事呼ぶ時は智也でいいよ。』


俺はちょっと照れくさかったから、わざと平静を装った。



時計を見るともう5時を回っていたー。

『俺もうそろそろ帰らないと‥。明日は面接だしさ。』


奈央と13時に駅で待ち合わせをしてから、既に4時間が経過していたー。


奈央と話していると、凄く楽しくて、嬉しくてー。


俺は時間が経つのをすっかり忘れていたー。



『そうだよね。智くん明日は面接だもん‥。あまり遅くなって寝坊したら大変だよね。』


そう言って奈央は笑った。


『奈央‥。ハハ‥。なんか名前で呼ぶの照れ臭いな。今日はありがとう。買い物に付き合ってもらったり、手料理まで作ってもらってさ。』

こう言った俺は少し顔が赤かったかもしれない‥。



『とんでもないです。あたしの方が智くんに御礼がしたかったんだから。』


そう言って奈央は俺の隣に座った。



『奈央‥???』



隣に座った奈央は、両手で俺の腕にしがみつき、耳元で囁いたーー。



『‥‥抱いて‥。』


俺は耳を疑ったー。


奈央と知り合ったのは、つい昨日の事ーー。



まだ知り合って一日しか経っていないのに、奈央の口からそんな言葉が発せられるとは思ってもいなかったーー。



俺の中の奈央の清純なイメージが一気に崩れ去った瞬間だったーー。



それは俺の勝手な思い込みに過ぎなかったのかーー。



『‥奈央‥‥。ち、ちょっと待っ‥‥。』



奈央は俺の腕にしっかりとしがみつき、顔を胸の中に埋めて来た‥。



『‥お願い‥‥。』


奈央が俺の耳元で囁く‥。



香水の、仄かに甘い匂いがしたーー。



奈央が顔を上げて俺の顔を覗き込む‥。


大きな黒目がちの瞳で俺の顔をじ〜っと見つめる。



止めてくれ、そんな目で俺を見ないでくれ。



そんな目で見られると‥。


見られると‥‥。

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