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朝靄

[356]  紅トンボ  2006-04-07投稿
朝起きると、そこには僕しか居なかった。
それは当然なんだけど、どうも信じられない。
頭では理解してるつもりでも心がついていかない。こんな事...本当にあるんだな....。
君の生きた証拠を一つ一つ確認しながら僕はまた落ち着く。
「この世界のどこ探しても君は居ないんだな。」
声に出すと、淋しくなった。君の命が消えたあの時より。
頬を一筋の水が伝う。
途切れることなく、溢れ出る。
冷たくなった君に触れた時ですら流れなかった涙が......。
ごめんな....何も、してやれなかったよな。何処にも、連れてってやれてねぇよな。
「本当の大切さって、なくしてから気付くんだよ?知ってた?」
君に教えられたこと、今になって痛いほどよく解る。
君は、僕の全てなんだ。
だから.......


朝起きると、隣にはいつもの寝顔。今、君がここに居てくれている。
こうして見ると.....愛しい。
今まで軽く遣ってた「愛してる」も、その大切さに気付いたよ。ありがとう。
どんな愛の言葉より、君が居て、僕が居る。 それだけ。それが、全てなんだ。



 朝靄の中 僕の目に、滲む涙



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