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彼の恋人

[244]  高橋晶子  2007-12-31投稿
痛ましい事件から2ヶ月経っていた。町中がクリスマス気分で浮かれるこの時期になると、高校卒業後の進路が決まる生徒が次々と現れる。

青海では、祥恵が富山大芸術文化学部の推薦入試に合格し、狂喜乱舞。

桜庭では、惇が温泉旅館の事務員に就職が内定し、泉は明治学院大経済学部の推薦入試に合格した。就職クラスの大半が公務員と福祉事業所の何れに就職が内定する一方で、進学クラスでは泉と同様に大学の推薦入試に合格した生徒が続出した。国公立大だったり早慶上智や関関同立だったりMARCHだったり成成獨國武だったり……そう、少人数ながら驚異的な合格実績を誇る背景には、推薦入試という絡操があったのだ。進学クラスの中には最初から医療系の専門学校を狙う人がいるのだが。
進路が決まりほっとしている泉は、精一杯の励ましをみくにかける。
「選抜クラスは建前上、センター受けるんだよね? センター受けて国公立に受かるのは2・3人だけど、今度こそ滑り止めで妥協したくないよね?」
「うん」
「『うん』じゃない! 『はい』でしょ!?」
「は、はい」
「私は本命に受かってチョー嬉しいよ。今はみくが大本命を勝ち取る番だよ! わかる? それぞれの第一志望に受かった時、滑り止めしか受からなかった奴等の悪口を思い出すだけ言い合おう!」
泉は、たまたま近くにいた暁を捕まえ、無理矢理みくと約束を取り交わす。
「な、何なんだ、いきなり」
みくと泉は暁を掴んだ手を離さない。
「泉ちゃんが『第一志望に受かったら、滑り止めしか受からなかった奴等の悪口を言おう』って言ったの」
「暁ちゃんもみくも実力行使で受けるんでしょう? 国公立に受かったら学校は御の字じゃん!? 負け犬になりたくなかったら浪人は絶対に駄目だよ! いい?」
みくと暁は柄に合わない言葉で応える。
「えぇ、ごもっとも!」
「私トンペー、真瀬はお茶女。第一志望は譲れません!」
惇は笑顔で明るく3人を見届けている。

新たな年が刻まれると、センター試験が実施される。心が休まらない日々は、まだまだ続く。

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