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死神の少女が見た画

[307]  カルメ焼き010  2007-12-31投稿
彼が生きて行く苦しさのために、死にたいと呟いた。
私は彼のその言葉を待っていた筈なのに…
彼が死ぬことを望んでいるから、私はここに来たはずなのに…
自分の持つ大きな鎌をピクリとも動かすことが出来なかった。
ただ目の前に広がる光景に見とれていた。
彼は、空っぽになった女性の肩を抱いていた。冷たくなった女性の体を放すまいというように抱き締めていた。
彼女の魂はすでに、私の先輩にあたる人が回収している。あとは私が彼の魂を狩ればいいだけなのに

動けない。

その絵があまりに綺麗すぎて

その絵があまりに哀しすぎて

その絵があまりに切なすぎて

ずっと、見ていたかった。

あぁ、でも彼をそのまま放っておいたら、彼はきっと自害するだろう。そしたらその絵の中に紅い血が混ざってしまう。そんなことはさせたくない。
私の持つ鎌がゆっくりと動き出す。

そして、鎌は彼を狩った。

徐々に彼の身体から熱が奪われていくだろう。隣りにいる女性と同じように冷たくなって、美しい絵のままそこに眠るだろう。

私は微笑んだ。二人の関係は知らないけれど、私の目に映る二人の姿はとても綺麗だった。
戦争でドロドロになった世界の中にまだ汚れず、残っているものがあるのが、嬉しかった。

雪のちらつくある冬の日のお話。

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