哀しみの笑顔
駅の改札口で肩を叩かれた
振り返ると変わらないあの人の顔
突然の事で身体が凍り付く
『久し振り』
懐かしい声
懐かしい笑顔
『うん、久し振り』
やっと出た言葉
相変わらずいい匂いがする
相変わらず痩せていて長身の彼を見上げる角度が懐かしい
肩から離れる彼の左手の薬指に見えた指輪
馬鹿みたい
心に穴が開いたように胸が痛む
再会とゆう希望の光がひと吹きで消える
『時間あるの?あるならお茶でも』
『急いでるから』
彼の言葉を最後まで聞かずに言い放った
だって何を話せばいい
彼の奥さんの話
幸せに満ち溢れた話
そんな自慢話に私は黙って頷くだけ
開いた穴がどんどん広がってきっと笑えなくなる
何でだろう
彼と別れてから忘れたはずだった
私は私の新しい人生を懸命に生きて
彼の事を考えないように努力して
また恋をして
無理してきたのに
忘れようとしたのに
何でなんてそんな事を自分に問い掛けなくても分かっている
彼以外の人なんて本気で愛した事はない
だけど仕方がない
後悔も沢山したけどそう言い聞かせてきた
こうしてまた現実を突き付けられ苦しくなる
十年も経ったんだ
時間が経てば環境だって変わる
彼も変わってしまっているのは当たり前なのに
私はこんなに変わっていない
惨めなだけ
『そうか』
残念そうに眉を潜める彼
私だって許されるなら話もしたいしもっと一緒にいたい
だけど分かる
私は何一つ変わっていない
きっとまた離れたくなくなって我が儘を言って彼を引き止めたくなる
幸せを壊したくなる
『じゃあ行くから』
素っ気なく背を向ける私に
『元気そうで良かったよ』
彼が屈託の無い笑顔で言う
『そっちも』
上手く笑えたかは分からない
一生懸命笑顔を作って少し手を振る
彼も手を振って見送る
何処にでもある再会
何処にでもある会話
そこで交わされる笑顔
一度に襲い掛かった喜びと哀しみ
背を向けた途端笑顔は消える
本当は泣きたかった
振り返ると変わらないあの人の顔
突然の事で身体が凍り付く
『久し振り』
懐かしい声
懐かしい笑顔
『うん、久し振り』
やっと出た言葉
相変わらずいい匂いがする
相変わらず痩せていて長身の彼を見上げる角度が懐かしい
肩から離れる彼の左手の薬指に見えた指輪
馬鹿みたい
心に穴が開いたように胸が痛む
再会とゆう希望の光がひと吹きで消える
『時間あるの?あるならお茶でも』
『急いでるから』
彼の言葉を最後まで聞かずに言い放った
だって何を話せばいい
彼の奥さんの話
幸せに満ち溢れた話
そんな自慢話に私は黙って頷くだけ
開いた穴がどんどん広がってきっと笑えなくなる
何でだろう
彼と別れてから忘れたはずだった
私は私の新しい人生を懸命に生きて
彼の事を考えないように努力して
また恋をして
無理してきたのに
忘れようとしたのに
何でなんてそんな事を自分に問い掛けなくても分かっている
彼以外の人なんて本気で愛した事はない
だけど仕方がない
後悔も沢山したけどそう言い聞かせてきた
こうしてまた現実を突き付けられ苦しくなる
十年も経ったんだ
時間が経てば環境だって変わる
彼も変わってしまっているのは当たり前なのに
私はこんなに変わっていない
惨めなだけ
『そうか』
残念そうに眉を潜める彼
私だって許されるなら話もしたいしもっと一緒にいたい
だけど分かる
私は何一つ変わっていない
きっとまた離れたくなくなって我が儘を言って彼を引き止めたくなる
幸せを壊したくなる
『じゃあ行くから』
素っ気なく背を向ける私に
『元気そうで良かったよ』
彼が屈託の無い笑顔で言う
『そっちも』
上手く笑えたかは分からない
一生懸命笑顔を作って少し手を振る
彼も手を振って見送る
何処にでもある再会
何処にでもある会話
そこで交わされる笑顔
一度に襲い掛かった喜びと哀しみ
背を向けた途端笑顔は消える
本当は泣きたかった
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