悲しき歌は夕暮れに。
〜?〜
?
次の日。
いつもの待ち合わせ場所に、アユリの姿はなかった。
怒っているなら当然だと思ったから、僕はひとり、学校へと向った。制服も学年もバラバラの、世間からずれた学校に。
いつもはアユリとおもしろおかしく話しながら通る一本道。
話しながら行くと、とても早くつく気がするのに、今日は永遠に続いているみたいに思えた。
そして学校についた。足がとても重い気がした。
下駄箱に靴を入れて、階段をのぼる。
この学校は、二階に小さい教室がひとつあって、一階はほとんどがものおきだ。理科室や体育館などの特別教室なんてものはもちろんない。幸村には本屋や図書館がないため、ちょっとした図書室があるだけ。
階段をのぼり終え、教室に入る。一番後ろの窓側にある自分の席にかばんをおき、隣りにあるアユリの席を見る。
「…?」
信じられない光景が僕の目に飛び込んできた。
そんなことがあるわけない。なのに…。
アユリの席は、そこにはなかった。
僕はキョロキョロと教室内を見回す。
アユリの姿はもちろんない。
いないだけなら、欠席なのかもしれないと納得がつく。だけど、机も、椅子もない。絶対におかしい。
「そんな…。なんで?」
そんなことあるわけない。きっと、なにかの間違いだ。間違いなんだ。
多分僕はパニックになっていた。
すると、小さな手が僕の肩に置かれる。
「ぅわっ!!」
つい本気で驚いてしまった。
「え?」
その手は、陽菜ちゃんのものだった。
陽菜ちゃんは、あわてて手をひっこめた。
「…ひ、陽菜、ちゃん…?」
「ご、ごめんなさいっ。びっくりさせちゃったよね!?」
陽菜ちゃんは可愛い声で、しぼりだすように言った。
「ううんっ。こっちこそ…、ごめん!」
僕が言うと、陽菜ちゃんは小さく首を振る。
「翔、元気ないよ?どうかした?」
陽菜ちゃんは素直に心配してくれていたらしい。悪いことをしたな。
「え!?いや、その…。アユリ、今日は休みなのかな、って」
陽菜ちゃんならなにか知っているかもしれない。
そう思ってきいたけど、陽菜ちゃんの顔にはなぜか疑問の表情が浮かんでいる。
そして、驚きの一言が返ってきた。
「アユリ…?」
ありえない。
そんなこと、あるわけない。
夢なら覚めてくれ。
そう願うしかなかった。
?
次の日。
いつもの待ち合わせ場所に、アユリの姿はなかった。
怒っているなら当然だと思ったから、僕はひとり、学校へと向った。制服も学年もバラバラの、世間からずれた学校に。
いつもはアユリとおもしろおかしく話しながら通る一本道。
話しながら行くと、とても早くつく気がするのに、今日は永遠に続いているみたいに思えた。
そして学校についた。足がとても重い気がした。
下駄箱に靴を入れて、階段をのぼる。
この学校は、二階に小さい教室がひとつあって、一階はほとんどがものおきだ。理科室や体育館などの特別教室なんてものはもちろんない。幸村には本屋や図書館がないため、ちょっとした図書室があるだけ。
階段をのぼり終え、教室に入る。一番後ろの窓側にある自分の席にかばんをおき、隣りにあるアユリの席を見る。
「…?」
信じられない光景が僕の目に飛び込んできた。
そんなことがあるわけない。なのに…。
アユリの席は、そこにはなかった。
僕はキョロキョロと教室内を見回す。
アユリの姿はもちろんない。
いないだけなら、欠席なのかもしれないと納得がつく。だけど、机も、椅子もない。絶対におかしい。
「そんな…。なんで?」
そんなことあるわけない。きっと、なにかの間違いだ。間違いなんだ。
多分僕はパニックになっていた。
すると、小さな手が僕の肩に置かれる。
「ぅわっ!!」
つい本気で驚いてしまった。
「え?」
その手は、陽菜ちゃんのものだった。
陽菜ちゃんは、あわてて手をひっこめた。
「…ひ、陽菜、ちゃん…?」
「ご、ごめんなさいっ。びっくりさせちゃったよね!?」
陽菜ちゃんは可愛い声で、しぼりだすように言った。
「ううんっ。こっちこそ…、ごめん!」
僕が言うと、陽菜ちゃんは小さく首を振る。
「翔、元気ないよ?どうかした?」
陽菜ちゃんは素直に心配してくれていたらしい。悪いことをしたな。
「え!?いや、その…。アユリ、今日は休みなのかな、って」
陽菜ちゃんならなにか知っているかもしれない。
そう思ってきいたけど、陽菜ちゃんの顔にはなぜか疑問の表情が浮かんでいる。
そして、驚きの一言が返ってきた。
「アユリ…?」
ありえない。
そんなこと、あるわけない。
夢なら覚めてくれ。
そう願うしかなかった。
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