《ノーマルの意地》




「山者が本格的に動き始めた。我々ＳＡＰ（特殊武装警察）もアルーフにばかり頼り続ける訳にはいかない」

黒いスーツを着たいかにもお堅い感じの男は深刻そうな顔をしている。

「ＳＴＯＣ…アルーフ、クローンの混成部隊。やつらに手柄を横取りされてばかりだな。」

こちらも同じように黒いスーツに堅苦しい感じの男、というよりこの薄暗い会議室にいる男達はそれこそクローンのように皆同じ格好の堅苦しい男達だ。

「それで？超人的力を持つアルーフに対して我々か弱きノーマルはどうテロに対抗するのかね？真田君」

名指しされた男はゆっくり立つと説明を始めた。

「我々はアルーフと比べて知能も体力も圧倒的に劣っているということは説明するまでも無いでしょう。しかし体力面なら最新の装備により補うことができます。まずはこちらを見てください」

真田がそう言うと黒い戦闘服を着た男が入ってきた。

それを確認すると真田はおもむろに銃を取り出した。

「見ていてください」

そう言うと真田は戦闘服の男に合図した。

戦闘服の男がうなずくと間も無くその戦闘服から糸のように細い光が走り始めた。

真田が引き金を引く。

パン！パン！パン！

戦闘服の男は僅かに後ろに動いた程度で全く無傷だった。

「この戦闘服は電流を流すことにより硬化する特殊な金属を使用しています。さらにこの戦闘服はノーマルにしか装備できません」

真田は一通り説明を終えると辺りを見渡した。

「ノーマルしか装備できないとはどういうことだ？」

１人の男が質問してきた。

「この戦闘服は直接神経と連動させ脳波によりコントロールしています。それによりスムーズ且つ瞬時に硬化させることに成功しました。」

「つまり、無理矢理つくりだされた不安定なアルーフには使いこなせないということか」

「簡単に言えばそういうことです」

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