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冬の雫 〜君の為に〜 1

[249]  Hi−Sa  2008-01-03投稿
第1章
 「出会い」

2007年12月24日
今日はすごく寒い。
風もかなり吹いていて、雪でも降りそうな寒さ。

俺は 神谷 孝文(かみや たかふみ)
東京の新宿駅前でフォークギターを弾き語りしている、21才のフリーターだ。

俺は夢がある。
ギターで皆を幸せにできる事。
その為には色んな街を歩いては俺の歌を歌いたい。

正直顔は格好良いとは言えない顔立ちをしている。
だけど俺はモテたいとか、格好良いとか、そんな事でギターはしたくない。

前の彼女。
俺のギターセンスに惚れてくれてた。

「ギターを弾いてる時が1番輝いているよ♪」

その言葉が1番嬉しかった。
だけど…
その彼女は俺を置いて天国に行ってしまった。

半年前に信号を渡ろうとしていた彼女に、
酔っ払い運転をしていたトラックが彼女に突っ込み、
救急車で運ばれ、意識は一時的に回復したが、
俺が駆け付けた10分後、
彼女の意識は二度と戻らなかった。。

最後に、彼女は言った。
「私がいなくなっても、ギターはやめないでね。
私はちゃんと聞いてるからね。」

そして僕は涙ながら、握りしめていた彼女の手の力が抜けていくのを見ていた。


そう
あの時の約束ちゃんと守ってる。

今もちゃんとギターを弾いて、最近作った曲を歌ってる。

題名は
「冬の雫」

悲しいような
切ないような
けれど優しく、
暖かく
愛する誰の為に歌いたい

そんな曲。

今日はクリスマスイブ。
歌っていても自分も微笑ましくなる。
辺りは幸せそうなカップル達が雪の中、寄り添いながら、笑顔を絶やさず歩いている。

羨ましいけど、嬉しい。
たまに俺の前に来ては、俺の歌を聞いてくれるカップル。
聞いた後は一段と寄り添って歩く。

何か幸せだな。


「ん?」
カップルばかりの街の中、向こうの方から足速に俺の方に駆け寄ってくる女の子。

そして歌っている俺に話しかけてきた。

「えっと、毎日ここで弾いてますよね?いつもアルバイトの帰り道に聞いてるんですけど、すごくいい歌ばかり歌いますよね☆」

俺はギターを止めた。
「あっ、ありがとう。」

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