ディ-プキス
貴方に出逢って私は初めて『温もり』を知った。
肌の温かさ、吐息の温かさ、そして愛される、と言うことの温かさ──。
ありがとう。
何度言ったら満たされる?
ありがとう。
私を愛してくれてありがとう──。
「ね、」
「ん?」
「綺麗だね、クリスマスツリ-」
「そだな」
赤や黄色や青色や、七色に光り輝くクリスマスツリ-。その光を受けて不思議な色を放つ貴方のその横顔に、私は幸せを見つける。
何時ものようにベッドに横になり、貴方に包まれて時間を潰す。
そして貴方は何時ものようにそのたくましい腕を私の肩に回し、私も何時ものように彼の胸に頭をもたげてそっと甘える。
コチ、コチ、
部屋の掛け時計の秒針が休むことなくこの幸せな一瞬一瞬を刻んでゆく。
コチ、コチ、
バイトに行く時間を気にして、ハルトが時折、時計を見ている。
「ねぇ、ハルト」
「ん?」
「時が止まっちゃえばいいのに」
ワガママとでも思ったかな?ハルトが小さく笑う。
でも私はそれぐらい、貴方から離れたくない。
「カナ、そろそろ行くよ」
背中からすぃ、と離れる両腕。
冬の寒さが、温かさをかき消してしまう。
胸を離れる貴方の匂い、この瞬間、貴方が何時も遠くに感じる。
「カナ、」
身支度をするハルトがそっと私の名を呼ぶ。
彼を見る私、そして何時ものように唇を重ねる。
長い長いディ-プキス。
ハルトの舌が口の中に入って、私の舌と絡み合う。
流れ込んできたハルトの唾液を飲む。
すぐ側でも、喉を鳴らす音がする。
ハルトの舌が私の口の中をまさぐる。
私も負けじと、彼の唇を舌で舐める。
愛してる、
言葉なんか要らない。
今、私は世界一幸せな女の子だろう。
ねぇ、サンタさん…
少しの間でいいから、時間を止めて──……。
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