ティシュと商人の街?
次の日、早速ティシュは役所に出向いた。
人混みを避け白い壁を伝いながら受け付けを捜すと、化粧の濃いおばさんの所で足を止めた。
防犯用の厚い硝子で出来た壁に手が入るぐらいの穴が空いており、その横に商人申請受付と書かれている。
目の前に一つだけ置かれた椅子に座ると、おばさんは不快そうな顔をして書類を用意した。
「これに記入して」
迷惑そうに穴から書類とペンを差し出すと、頬杖をつきティシュが名前を書くのを見ている。
「あなた……いくつ?」
「もうすぐ13になる」
「……」
店を出すのに年齢は関係ないが、成功するまでに多額の費用が必要になる。大人でもねを上げ、今も退去申請所は混雑していた。
そんな中子供一人でやっていくのは無理だと決めつけ、どうせ許可さえおりないだろうと無駄な時間に嫌気がさしているようだった。
「はい」
書き終えた書類に不備がないか確認していると、住所の所で目を止めティシュを見た。
「あなたブランディの親戚の子?」
「へ?違うよ。居候」
「ふーん……じゃあ聞いてるわよね、この街で商いをするのがいかに大変か」
「うん、大体は」
本当に解ってはいないだろうと思ったが仕方なく書類にサインした。
「いくつか質問するから答えて頂戴」
「うん」
違う書類に目を通しながらペンを走らせた。
「場所の希望は?」
「店借りられないから路上でやろうかと」
「駄目よ。路上は通行人の邪魔になるから店の前でも許可されていないの」
「えー」
考えるティシュに間髪入れず質問を続けた。
「種類は食品?衣類?」
「補助品かな。防具につけるんだ」
「仕入れ先は決まったの?」
「街の森で採るんだよ。パピの木の葉で」
「パピの木……?」
街に古来から生息するパピの木は、培養が叶わず一本しかない巨大な木だ。
樹液から難しい病気が直る漢方が作られ、その為街のシンボルとされている程の有名な大木だ。
「あなた知らないの?今パピの木は採取禁止になってるのよ」
「え!?」
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