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航宙機動部隊前史・30

[468]  まっかつ  2008-01-05投稿
解体された航宙遊牧民族は小さな集団に分かたれ、指定された星系外縁や公宙域へそれぞれ移住させられた。
新たな植民団として再組織されたケースも多かった。
宙際連合は彼等旧航宙遊牧民族を《浮囚》と名付け、厳しい監視下に置いた。
その監視役に擬せられたのが、外でもない航宙狩猟民族だったのは皮肉以外の何物でもない。
否。
事実中央域は狙っていたのだ。
敗者同士をいがみ合わせてその憎しみが自分達に向けられるのを反らさせ様と―\r

その狙いの一部は当たって、航宙狩猟民族は以後確かに遊牧民族に激しく恨まれる結果となった。
又、航宙狩猟民族に《油断の置けない・陰謀好き・叛服常ない》こう言ったイメージが付きまとい始めたのもこの闘いが終わった辺りからだった。
彼等はただ、人質にされた子供達を救出しようとしただけであり、何よりも彼等の仕える航宙遊牧民族から不当な扱いを受けた事に酷く憤慨して反旗を翻したのだ。
だが、盟友を裏切って敵に差し出した上、今度は新たな支配者の為に監視人を買って出た―下された歴史的判定は長らく表層的結果をなぞるに留まり続けた。

《征夷王道化戦争》は宇宙史上始めての恒星間総力戦だった。
その規模は《地火戦争》の優に一千万倍に及んだ。
後者では直接戦争に携ったのは機動部隊を中心に軍人・エンジニア・政府・科学者・それに軍需産業群と、一部の専門家や関係者に限られていたが、今回の戦役ではあらゆる分野・階層・部門が広く動員され、戦時体制へと組織・統制されて行った。
特に宙際連合側では戦争後期になるにつれて、動員の全体化・無差別化の傾向がより顕著になっていた。
ネット集合体に代表されるメディアや学界・教育機関・芸能分野までもが国の要請や命令に応じて、逆に自発的な参加で協力や自主規制の名の下、戦争を支持し、反対者を非難し、敵を弾劾するキャンペーンを最後には熱狂的に繰り広げる様になっていた。
更に、戦火の拡大に連れて、攻撃の対象も次第に純粋な軍から純粋な民間へとシフトして行った。
お互いの陣営が相手の経済や生産力拠点を狙い始めたからである。
特に人的資源を枯渇させる戦略は大勢の市民を否応なく戦争に巻き込んだ。

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