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[282]  さすらいの小説家  2006-04-07投稿
玲花の家のインターホンを押すと玲花の母親の声がした。
「玲花ちゃんいる?」
僕は尋ねた。
「悟くんね、居るわよ、なんか寂しそうだったけど何かあったの。まぁとりあえず上がってちょうだい。」僕は上がらせてもらい玲花の部屋へと向かった。僕は駄菓子屋のおばちゃんにもらった飴玉を握り締め、部屋へ入った。
「玲花ちゃん、ごめんね。」部屋に入るなり僕は謝った。玲花はベッドの隅で蹲っていた。
「ううん、いいの、私が悪かったから。悟の気持ちも考えないで。」
玲花は顔をあげ大きな目を僕に向けて話した。
「違うよ、僕が弱虫だからいけないんだ。玲花ちゃんの言うとおり強くならなきゃ。」僕は湿った服のまま来たことに気付いた。
「ごめん、こんな濡れた服で。じゃあ僕帰るね。あ、そうそう、これ食べて。」そう言うと僕は玲花の家から去っていった。
(あの時はすっきりしたなぁ)
今考えても胸がすっとするくらい上手く言えたと思う。

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