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aki-第3章-?

[225]  1003  2008-01-07投稿
「はい、どうぞ。」
私はマグカップを二つテーブルの上にコトリと並べた。

「タクシー、呼ぼうか?」
簡単な手当てをしながら、あきに問いかけた。

あきがふいに手当てをしている手から視線を私に移した。

「何も聞かないのか?」
このあきの質問に、私は答えられずにいた。

聞きたい事ならたくさんあるのに、私には『知る権利』が無い様な気がした。

「あいつは…。」
私にお構い無しにあきが口を開いた。

「加菜は、悪くないんだよ。」
あきの声が当たり前の様に、彼女の名前を呼ぶ。
呼び慣れた感じが、私の気持ちを揺るがせる。
それでもあきは続けた。

「加菜とは付き合ってた。
わかっていたんだ。自分が側にいてやらないと加菜は駄目になるって。
でも、自分の気持ちに嘘はつけなかったんだ。例え傷つける事を知っていても。」

私は、胸の奥が熱くなっていくのに自分でも気が付いた。
嬉しくてじゃない。
悲しくてじゃない。
何よりも、誰よりも自分自身が恥ずかしくて、惨めに感じた。

あきは、優しい人だ。
誰かを平気で傷つけられるようなタイプなんかじゃない。


「今日、唯の会社で仕事が終わる頃、加菜から連絡がきたんだよ。唯がいなくなれば別れないよねって。
嫌な予感がして、会社の入り口を見たら偶然唯の後ろ姿を見掛けたから、急いで追いかけたんだ。」
あきは続けた。
「まぁ、何よりも…。唯に怪我が無くて良かった。」

あきはそう言って、私の頭をフワリと優しく撫でた。
変わらない笑顔のままで。




汚くて、ズルいのは私だけ。





あきが優しいから。
加菜の気持ちがわかるから。
亮ちゃんが何も言わないから。



沢山の気持ちが、一気に私の中をグルグルまわる。


気付くと、私は泣いていた。


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