*たんぽぽの咲く場所4*
昼間は二人で恋人ごっこ。
それはあくまでも『ごっこ』の域を越えることはなく
ふと思い付いた拍子に始まる。
悪乗りの延長。
アイツはもう何年も付き合ってる彼女がいる。
薬指にはペアリングを填め
専用の携帯を持ち
お揃いのストラップを下げている。
だから
アイツはアタシを本当に仲間の一人としてしか見ていない。
アイツもアタシも適当だから
大勢の前で恥かしげもなく
アイツはアタシを『俺の女』と言い、
アタシはアイツに『大好き』と言う。
この光景を彼女に見せてやりたい。
そんな風に時々思う。
ちょっとした嫉妬とそばにいる優越感。
でもきっと
そんなことになったら『ごっこ』はお終い。
『好き』と1000回言ったら好きになる。
とはよく言ったものだ。
いつの間にかアタシの『大好き』は本当になっていた。
叶うことのない
一方通行の想い。
感想
感想はありません。